空き家になっても水道の契約は必要?必要性や通水のポイントを紹介

空き家の管理において、水道の扱いに困っている方も多いのではないでしょうか。特に「空き家なのだから、水道契約は解約した方が良いのでは?」と考える方も少なくないようです。

しかし、空き家だからといって水道契約を解約することは、建物の維持管理の観点から見ると必ずしも最適な選択とは言えない可能性があります。むしろ、適切な水道管理を行うことで、予期せぬトラブルや高額な修理費用を防ぐことができるケースも多いようです。

実際に、空き家の水道を放置することで発生する問題は、単なる不便さだけではありません。下水道からの悪臭、害虫の侵入、水道管の劣化など、様々なリスクが潜んでいます。これらの問題は、放置すればするほど深刻化し、最終的には建物の価値低下にもつながる可能性があると指摘されています。

この記事では、空き家における水道契約の必要性から、具体的な管理方法まで、実践的な情報をご紹介していきます。これから空き家の管理を始める方はもちろん、すでに管理されている方にとっても、より効果的な維持管理の方法を見つけていただけるのではないでしょうか。

 空き家でも水道契約は必要

空き家の水道契約について、「継続すべきか解約すべきか」迷われている方も多いのではないでしょうか。

結論から申し上げますと、空き家であっても水道契約の継続を推奨するケースが多いようです。

水道契約を継続することで得られるメリットと、解約した場合のデメリットを比較してみましょう。

【契約継続の判断ポイント】

メリットデメリット
✓ 定期的な通水による配管の維持が可能× 配管の劣化リスクが高まる
✓ 緊急時の水道使用がすぐに可能× 再契約時に手続きと費用が発生
✓ 防犯・防災対策として活用できる× トラブル発生時の対応が遅れる

このように、一見すると無駄に思える空き家の水道契約ですが、建物の維持管理の観点から見ると、契約を継続することでむしろコストを抑えられる可能性が高いと考えられます。

 水道料金はどのくらいかかる?

空き家の水道料金は、「基本料金」と「従量料金」の2つで構成されているようです。地域によって料金体系は異なりますが、一般的な料金の目安をご紹介します。

▼基本料金の目安(月額)

メーター口径基本料金
13mm800円~1,200円程度
20mm1,200円~2,000円程度
25mm2,000円~3,000円程度

最低限の使用(月1回の通水程度)であれば、以下のような費用で済む可能性が高いとされています。

▼年間維持費の試算例(13mm口径の場合)

◆基本料金 1,000円 × 12ヶ月 = 12,000円
◆従量料金 200円 × 12ヶ月 = 2,400円
◆年間合計 約14,400円

このように、空き家の水道維持費は以下の金額が目安となるようです。

  • 月額:1,000円~1,500円程度
  • 年間:15,000円前後

ただし、これはあくまでも目安であり、地域や使用状況によって変動する可能性があります。

 通水をしない際のリスク

空き家の水道を長期間使用しないことには、予想以上に大きなリスクが伴う可能性があります。

特に、建物の維持管理の観点から見ると、以下のようなリスクが考えられます。

▼通水しない場合のリスク比較表

リスク項目発生確率想定修理費用予防対策費用
配管の劣化10~30万円年間1.5万円
害虫の発生5~15万円年間1万円
悪臭の発生3~10万円年間1万円

これらのリスクは、定期的な通水を行うことで大幅に軽減できる可能性が高いと考えられています。

 下水道からの悪臭がこもる

下水道からの悪臭は、空き家の管理において特に注意が必要な問題の一つとされています。

▼悪臭が発生する仕組み

  1. 排水トラップ内の封水が蒸発
  2. 封水による臭気遮断が機能しなくなる
  3. 下水道の臭気が室内に逆流

特に夏場は蒸発が早まる傾向にあるため、より注意が必要とされています。

▼悪臭対策の費用目安

対策方法費用効果持続期間
定期的な通水水道料金のみ約1ヶ月
封水パッキン設置2,000円~/個6ヶ月~1年
防臭ワン設置1,500円~/個3~6ヶ月

このような悪臭は、近隣の住民に不快感を与える可能性もあるため、適切な対策を講じることが推奨されています。

 害虫の侵入口になってしまう

水道設備の排水口は、思わぬ害虫の侵入経路になる可能性があります。

▼主な侵入害虫と被害の特徴

害虫の種類想定される被害駆除費用の目安
ゴキブリ・衛生面の悪化
・大量繁殖の可能性
2~5万円
チョウバエ・不快害虫の発生
・短期間での増殖
1~3万円
シロアリ・建材の食害
・構造躯体の劣化
15~30万円

注目ポイントするべきポイントは以下になります。

  • 1年以上の放置で被害が深刻化
  • 近隣への被害拡大の可能性
  • 早期発見・早期対応が重要

 滞留した水で水道管が錆びや破損する

水道管の劣化は、空き家管理における重要な課題の一つとされています。長期間水を流さないことで、配管内部に様々な問題が発生する可能性があります。

▼水道管の劣化進行と対策費用

経過期間想定される症状修理費用予防対策費用
半年~1年・軽度の錆び
・水の濁り
3~5万円年間1.5万円
1~2年・配管の腐食
・漏水の可能性
10~20万円同上
2年以上・配管の破損
・大規模漏水
20~40万円同上

【重要なポイント】

  • 予防対策費用は年間1.5万円程度
  • 修理費用は放置期間に応じて増加
  • 早期の予防対策がコスト削減につながる可能性が高い

 最悪の場合は行政から罰則を受ける

空き家の管理不備による問題は、行政からの指導や罰則の対象となる可能性があります。

▼行政による主な措置と事例

措置の段階適用条件想定される罰則
助言・指導管理不全の初期段階なし
勧告近隣への影響が出始めた段階固定資産税の優遇解除
命令重大な悪影響あり50万円以下の過料

【注意が必要な事例】

  • 水道管破損による漏水被害
  • 害虫発生による衛生問題
  • 悪臭による近隣トラブル

 空き家で通水するときのポイント

空き家の水道管理において、適切な通水は非常に重要とされています。

▼通水作業の基本情報

項目内容備考
必要時間15~30分建物規模により変動
必要な道具・バケツ<br>・雑巾<br>・懐中電灯季節により追加必要
想定費用水道料金のみ月100~300円程度

作業のポイントは以下を参考にしてください。

  • 定期的な実施が重要
  • 季節に応じた調整が必要
  • 異常の早期発見を心がける

 頻度と通水時間

適切な通水の頻度と時間は、空き家の状況や季節によって異なる可能性があります。

▼季節別の推奨通水スケジュール

季節推奨頻度1回の通水時間
春・秋2週間に1回3~5分
夏季週1回5~10分
冬季週1回3~5分

 水量を確認する

適切な水量の確認は、水道管の健全性を判断する重要な指標となります。

▼水量確認のチェックポイント

確認項目適正な状態異常の兆候
水の勢い洗面台が30秒以内に満水1分以上かかる
水の色無色透明黄色や茶色っぽい
異物の有無なし錆びや沈殿物あり

【異常が見られた場合の対応】

  1. すぐに使用を中止
  2. 水道工事業者へ相談
  3. 早期の修理を検討

 冬場は凍結対策を行う

冬季の水道管凍結は、深刻な損傷につながる可能性がある問題です。

▼凍結対策の必要物と費用

必要なもの概算費用使用期間
保温材1,000円~/m2~3年
凍結防止帯3,000円~3~5年
水抜き栓5,000円~5年以上

▼推奨スケジュール

時期実施内容
11月上旬・保温材の点検
・新規取り付け(必要な場合)
11月下旬・凍結防止帯の設置
・動作確認
12月~2月・週1回の稼働確認
・異常時は即対応
3月・保温材の状態確認
・次シーズンの準備

 まとめ

空き家の水道管理について、重要なポイントを整理しました。

▼管理チェックリスト

項目チェックリスト
1. 契約継続の判断□ 建物の利用頻度を確認
□ 維持費用を試算
□ 管理の手間を検討
2. リスク管理の重要項目□ 定期的な通水を実施
□ 季節に応じた対策を講じる
□ 異常の早期発見に努める
3. 具体的な管理方法□ 通水スケジュールを設定
□ 必要な道具を準備
□ 点検項目を確認

これらの項目は、以下の要因で優先順位が変わる可能性があります。

  • 空き家の状況
  • 地域性
  • 気候条件

定期的な管理を行うことで、予期せぬトラブルを防ぎ、建物の価値を維持することができる可能性が高いとされています。

必要に応じて、専門家への相談も検討してみてはいかがでしょうか。